コラえてコラえて

朝からビックリで声が出た~! 朝ドラの話なんですけどね。朝は時計かわりに民放ではなく国営放送をつけているご家庭は多いかと思います。うちもそのタイプで、朝ドラもその流れで流してて面白ければちゃんと見るんですけど、今の「あんぱん」はそれなんですね。というのも、あんぱんまん(絵本時代)が好きでアニメ化した際に主題歌の歌詞に涙した私なので(あの詞は大変暖かいし前向きで感動的です)、やなせたかしご夫妻がテーマということで関心があるのです。前のよりは面白いと思うし…。

で、ですよ。予告見たら来週は豪ちゃんが出征するんやね…早い(涙)。蘭子ちゃんとの恋の行方はどうなるんや~!! 寡黙ながら実直な男、豪ちゃん。体力もあるから確かに兵隊さん向きかもしれないけど。個人的には蘭子ちゃんと結婚して石屋を継いでくれたらなと思っていたんだけど…はてさて、どうなることやら。若い二人の恋が成就することを祈らずにはおれません。

「あ、うん」を思い出すよね

あのシーンを見て一番に思い出したのが向田邦子さんの「あ、うん」です。時代的にも一致するし(日中戦争前のお話らしい)。「あ、うん」自体は水田とその妻であるたみ、水田の親友である門倉の微妙な関係性を描いたドラマ(のちに作者自ら小説化した、私はそれを読みました)で、口には出さないけどいろいろ複雑な胸の内と人間関係を描いた何とも向田さんらしいお話です。朝ドラで思い出しのは、水田の一人娘であるさと子のエピソード。

さと子がコッソリ付き合っていた帝大生辻本(赤寄り?で特高に目をつけられていた)に赤紙が届くんですね。で、辻本はたまらず出征すると水田家に言いに来るのですが、夜に雪が降る中をさと子は辻本を追いかけて行っちゃうんです。そこに至るまでにもひと悶着あるんですが、水田は娘の気持ちはわかるけど父親としては複雑で「行くな」と言い、門倉は「行ってこい」とさと子を送り出し、たみは「しわのあるスカートでさと子をお嫁に出してしまった」みたいな事を思うか言うかするんです。そんでね、門倉が「さと子ちゃん、今夜一晩が一生だな」と言うの。これがもう、生きて再び会えないかもしれない、どうにもできない事ならせめて一晩だけ、という切羽詰まった二人の気持ちを見事に表現してるように思えて、何だか泣けるんですよ…。さと子も蘭子ちゃんも、別れ際には「きっと生きて帰って来てほしい」と言ったはず(涙)。来週、豪ちゃんが出征する前に蘭子ちゃんにもさと子のような夜がありますように(いや、帰ってきてくれるのが一番いいんだけど)。

「秘すれば花」ってのはあるよね

これは「はっきりさせないところに味がある」的な意味ですが、日本の「察する」文化にも通じるものがある、奥ゆかしさとかしっとりした色気のある言葉ですね。

「あ、うん」では、門倉はたみへの、たみは門倉の自分への気持ちを知っていながら絶対に踏み込もうとしないんですが(水田に関しては何も書かれていないんですよ、絶対知ってたと思うけどね)、そんな門倉がある日水田家を訪ねた際に縁側で水田のカンカン帽を手におどけているたみを偶然見かけて「もうだめだ」と思うところもよかったな~。門倉のたみへの思いは、静かに少しずつコップに水が溜まるように蓄積されていき、おどけるたみを見た途端に溢れちゃったんですよね。コップの水って、表面張力である程度まではこぼれずにいてくれるけど、パンパンに膨れ上がった水はちょっとの刺激であふれちゃうという、まさにあれ。これはたまらんと、水田に喧嘩をふっかけて疎遠になろうとする門倉は、ちょっと情けないけどイケオジ枠決定ですよ、ホント。

こういう、本当は情熱的な想いを持っているのに敢えて見せず、ずっと堪えに堪えてきた人の感情の発露って言うのが自分的にはすご~く刺さるんですよね。ものすごく色っぽいと思いませんか? 今風にストレートに好意をぶつけるのもいいんですけど、それだけだと情緒が感じられないし想いの深みもなさそうだしね(ないわけではない)。自分は性癖みたいなのが無いと思っていたけど、もしかしたらこういうのが癖なのかもしれないですね。フフッ。

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